【専門家が解説】市街化調整区域・名古屋市の建築許可手続きについて

こんにちは。
中山不動産株式会社です。

土地の購入、売却を考えるときに、周辺の土地よりも安い値段がつけられることがあります。
土地の値段はさまざまな要因によって決められますが、中でも「法令上の建築制限」は大きな要因です。

今回は、法令上の制限の一つである「市街化調整区域」について、その概要、制限の内容、建物を建築するときの手続きについて解説します。
市街化調整区域の土地の売買を検討するときには今回のコラムの内容を十分に理解し、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

市街化調整区域とは?

「市街化調整区域」とは、市街化を「抑制」すべき地域として、都市計画法第7条に基づいて都道府県が定めた地域です。

「調整区域」というと、より良い市街地にするために建築できる建物の種類等を調節する地域という意味合いに見えますが、そうではありません。
原則として、新しい施設の開発や居住用建物の建築が制限(禁止)される地域です。

無秩序な施設や住宅の建築がなされると、生活インフラが追い付かなかったり、集落が散逸したりして、住みにくい街が形成されてしまいます。
このようなことを防止するために計画的に街づくりを行っていくために、このような区域が定められているのです。

市街化区域との違い

市街化区域とは、現在市街地を形成している地域及びおおむね10年以内に市街化として整備されることが優先的・計画的に行われる地域をいいます。

都道府県はおおむね5年ごとに、都市整備に関する計画である「都市計画」と定めますが、その際に都市計画区域と区域外を設定します。
その都市計画区域内において、市街化を促進すべき地域、抑制すべき地域、どちらにも区分されない地域に分けます。

そのうち、市街化を促進すべき地域として区分された地域が「市街化区域」です。

用途地域との違い

似たような建築制限として「用途地域」というのを聞いたことがある方もいるでしょう。

「用途地域」とは、市街化区域内において、住居地域、商業地域、工業地域といったように13の地域に分けて指定し、乱雑な土地利用を防止して健全な都市形成を図ろうとしたものです。
第一種低層住居専用地域、準工業地域などはその例で、建ぺい率、容積率、高さ制限などが影響してきます。

市街化調整区域の調べ方

市街化区域、市街化調整区域を調べるには、都市計画図を手に入れるのが最も確実な方法です。
各市町村の役所の管轄部署で数百円にて販売されています。

最近ではネット環境が整備されたことから、インターネットで都市計画図が閲覧できる地域も増えてきました。

市街化調整区域の様々な制限

市街化調整区域に指定された地域内にある土地については新たな施設や建物の建築が制限されます。

建物を新築するときの制限

市街化調整区域に建物を新築するときには、原則として都道府県知事の開発許可・建築許可を取得する必要があります。

市街化調整区域内では、一般の開発許可基準に加え「立地基準」という特別な基準が適用されます。
これは、市街化調整区域内でも居住している人たちに必要な施設・店舗や鉱物資源等を採掘するために必要となる施設の建設、市街化区域内に建設することが困難となる場合がある施設(危険物処理施設、ガソリンスタンドなど)については、建築することを認める余地を与えるものです。

例外として、農業・漁業に従事する方のための住居や業務施設、公民館や鉄道などの公共施設を建築する際には開発許可は必要ないとされています。

既存建物の増築やリフォームするときの制限

市街化調整区域内にすでに存在している建物の増築、リフォームを行う際にも、原則として新築の時と同様に開発許可を取得する必要があります。
特に床面積が従前の建物の1.5倍以上になるような、大規模な増改築をする際には、開発許可が必要となってきます。

もっとも、外壁塗装やキッチン、トイレなど住宅内部のリフォームについては、開発許可は必要ありません。

市街化調整区域の土地の活用方法

前述のとおり、市街化調整区域内にある土地については、建築制限がありますので、土地活用についても選択肢が狭まります。

しかし、全く活用ができないわけではありません。

例えば、駐車場や資材置き場、最近では再生可能エネルギー発電設備(太陽光発電)などを設置するなど、活用方法は広がっています。

また、最近では高齢化社会が進んでいることもあって、有料老人ホームや特養(特別養護老人施設)などの建築について開発許可が下りている例もあるようです。

自己所有土地で市街化調整区域だからという理由で活用をあきらめている方は、改めて不動産の専門家に相談してみることも検討してみる価値はありそうです。

市街化調整区域での開発許可・建築許可手続き【名古屋市編】

市街化調整区域内において建物を新築、建築物の用途の変更、開発行為をするには、都道府県知事の開発許可もしくは建築許可を取得する必要があります。

専門的な内容が含まれますので、実際に開発許可・建築許可を取得しようと検討するときには、不動産の専門家と相談しながら進めることになります。

事前相談をする

名古屋市の場合、まずは事前相談として、事前相談書に必要書類を添付して開発審査窓口係に提出します。
郵送、ファックスでの提出は原則不可で、直接提出することになります。

この事前相談では主に開発許可・建築許可がそもそも必要な建物か、そして都市計画法第34条各項に規定されている、建築が例外的に認められる建物に該当するかの審査がなされます。

添付書類は位置図、公図、登記簿謄本など対象土地に関する基本的な情報がわかる資料のほか、建築を予定する建物の配置や外構、高さ、各階平面図、立面図などがわかる資料が必要になってくるために、相当程度具体的な資料が必要になってきます。

また、なぜ、わざわざ市街化調整区域を選択して予定建物を建築するのかを説明する書類も必要になってきます。

役所は種々の資料を審査し、必要ならば現地調査をして、回答します。
回答までの標準的な期間は1週間です。

建築許可・開発許可申請

事前相談を通過した場合には、建築する建物の態様、開発行為の有無によって、建築許可申請、もしくは開発許可申請をします。
いずれも相談窓口は開発審査窓口係です。

こちらについては、専門の工事業者、不動産開発業者が建築計画書類、開発工事計画書類を作成して、行政の専門家と協議しながら申請手続きを進めることになります。

建築確認申請・行為完了届の提出

無事、建築許可・開発許可申請が取得された後は、建築確認申請を行います。
ここからは通常の建物の新築の場合と同様です。

開発行為の完了、建築完了の後、行為完了届を提出して手続き終了となります。

市街化調整区域の土地の購入・売却は専門家に相談を

市街化調整区域にある土地は扱いが難しく、建築できる建物、増改築やリフォーム、土地活用方法について制限があります。
また実際に活用を検討する際にも専門的な資料を収集する必要があるために、不動産や建築、開発行為についての専門家の助力が不可欠です。

愛知県内の市街化調整区域内の土地の購入、売却、建物の再建築、増改築、リフォームの際には、是非「中山不動産」までご相談ください。
専門のスタッフが親身になって丁寧にご相談を承ります。


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