利回りとは?

利回りとは?投資における意味や計算方法、利率との違いを解説

利回りの計算法を説明
資産運用で金融商品の購入を検討するときに、判断基準の一つとなるのが利回りです。
利回りとは、投資した元本がどのくらいの利益になるのかを表す数値を意味します。
投資をする際の目安となる利回りですが、どのような点を確認すればいいのでしょうか。
この記事では、投資の初心者向けに利回りの考え方を含め、計算方法など基礎知識を紹介します。
より賢く投資を活用するためには、利回り以外の項目も見ることが大切です。
 
不動産投資におけるチェックポイントも解説しますので、最後まで読み進めて今後の参考にしてみてください。

利回りの意味とは?

金融商品へ投資する場合、期待できる年間の利回りは投資先を選ぶうえでも重要な判断材料になります。
まずは用語を整理しながら、利回りについて確認していきましょう。
投資信託ではリターンと呼ぶことが多いですが、この記事では利回りと表記します。
利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことです。
この収益には株式の配当金や、投資信託の分配金などの保有で得られる「利益」だけでなく、金融商品を売却した際の「売買損益」も含みます。
通常は1年間あたりの平均利回り(年利)を指すことがほとんどです。
実際に利回りの数字を見ることで、どのくらいの収益を得られるのか、また何年で投資資金を回収できるのかなどがわかります。
金融商品を購入する際には、利回りが重要な指標になるため、その仕組みをきちんと理解しておきましょう。
利回りと類似した用語に利率がありますが、これは債券や預金に使われるものです。
利率とは、元本に対して毎年受け取る利息(利子)の割合を意味します。
一般的に利率は債券や預金のみで、他の金融商品では使われません。
たとえば、投資信託には「分配金」と呼ばれる仕組みがあります。
分配金は、投資信託における一定の運用期間を通じて変動した基準価額に応じて、運用会社から支払われます。
株式投資で投資先の企業から株主に保有する株式に合わせて支払うのが配当金です。
割引券などの株主優待品が加われば利回りは上昇するため、銘柄選びの重要な指標となります。

数%の利回りの差によって、以下のように得られる利益は変わってきます。

【100万円を30年間運用したケース】

複利の年率利益
3%約143万円
7%約661万円
上記は金融商品を購入した際の一例ですが、100万円を普通預金口座に預け入れた場合はどうなるでしょうか。
定期預金の金利は2023年時点では高くても0.3%ほどで、1年後の利息は約3,000円です。
日本では円安や資源価格の高騰の影響でインフレが続いています。
インフレとはモノの値段が上がり、お金の価値が下がることを意味します。
資産が預貯金のみだと、いざ使うときにはお金の価値が目減りしている可能性があります。
このような事態に陥らないためにも、投資などの資産形成を始めることが大切です。

利回りの計算方法

次に、利回りを求めるための算出方法を確認していきましょう。
投資のコストは購入手数料や税金、不動産投資であればローン返済などの必要経費があります。
利益からコストを差し引き、投資元本と運用年数で割ることにより、年利回りを算出可能です。
ここからは、数ある金融商品のなかから不動産投資を選ぶことを前提に、利回りについて解説します。

利回りは主に「表面利回り」と「実質利回り」の2種類が存在します。

【表面利回り(グロス利回り)】

表面利回りとは、投資金額に対する1年間で得られる収益割合のことです。
税金や手数料などの各種経費を含めずに利回り計算をしたもので、グロス利回りとも呼ばれます。

表面利回りの計算式は以下のとおりです。

表面利回り(%)=(年間家賃収入÷物件購入価格)×100

【実質利回り(ネット利回り、NOI利回り)】

実質利回りとは、投資のコストを加味して求める収益割合のことです。購入の諸経費や年間の維持費などを差し引いたもので、ネット利回りやNOI利回りとも呼ばれます。

実質利回りの計算式は以下のとおりです。

実質利回り(%)=(年間収入-年間諸費用)÷(物件購入価格+購入時諸費用)×100

金融商品ごとに収益や費用の項目が異なるため、それぞれの特性に合った計算を理解することが堅実な資産運用に役立ちます。

利回りを見る際は、表面利回りではなく実質利回りを重視します。
表面利回りは単年度の指標であり、あくまでも表面的な数字です。
建物の老化で修繕費がかかる場合や、空室などは考慮されていないため、表面利回りだけで判断することは危険です。
実質利回りと比べて数値は高く見えますが、必要経費が計算に入っていないことを覚えておきましょう。
不動産の物件情報に記載されているのは、表面利回りの場合が一般的です。
広告に記載された利回りに惹かれて投資したら、手数料が思いのほかかかり、収益が得られないことも少なくありません。
利回りの数値が高いという理由だけで選ばないように注意しましょう。
不動産を比較検討する場合は、実質利回りを計算したうえでの購入をおすすめします。
実質利回りの経費に含まれる諸費用は以下のとおりです。
諸費用は細かく参入するほど、実質利回りが現実に近い数値になります。
手間はかかりますが、時間をかけて検討しましょう。
項目詳細
租税公課固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登記費用
管理委託手数料入居者募集、入居時の賃貸契約、家賃などの入金管理、クレーム対応、共用部分の清掃、共用設備の保守・点検など
修繕費メンテナンス費用、設備の交換費用、修繕積立金など
借入金利子金融機関から融資を受けている場合のローンの利子(実質利回りを算出する際は、元本もあわせて諸費用に入れて計算する)
水道光熱費諸費用として考えるものは共用部にかかる部分のみ
通信費入居者や取引先と連絡を取るための電話代やインターネット利用料金、ツールの取得費用
その他火災保険料、仲介手数料、税理士報酬、図書・新聞費など

不動産投資の利回り相場はいくら?

利回り相場は変動があり、物件の条件ごとに大きく異なります。
たとえば、新築物件と中古物件を比較した場合、家賃が同じなら中古物件のほうが利回りは高い傾向にあります。
どちらを選択するのかは投資方針や目的で変わってくるでしょう。
日本各地の平均利回りを物件別に以下の表にまとめました。
あくまでも平均値ですが、最低ラインを把握するための参考にしてみてください。
地域区分マンション一棟アパート一棟マンション
首都圏6.52%7.56%6.75%
北海道11.89%11.26%8.87%
東北12.56%11.81%10.74%
信州・北陸15.86%12.44%12.24%
東海8.96%9.16%9.12%
関西7.19%8.88%8.34%
中国・四国12.80%11.17%11.94%
九州・沖縄10.14%9.06%9.23%
上記の利回りを比較すると、地方のほうが高い傾向にあります。
これは物件の取得価額が関係しており、地方のほうが購入価額が安い分、利回りが高めになると分析できます。
物件タイプ別の場合、それぞれにどの物件が高利回りになるのかという特徴は見られません。

利回りのシミュレーション

気になる投資用物件が見つかったら、利回りを計算してみましょう。
収益のシミュレーションをすることで、具体的な計画を立てやすくなります。

新築の一棟アパートを想定して、利回りを計算してみましょう。

【表面利回り】
(800万円÷1億円)×100=8%
【実質利回り】
(800万円-100万円)÷(1億円+230万円)×100=6.8%
上記のような新築アパートを想定した場合の表面利回りは8%、実質利回りは6.8%です。
ここでは、管理費や固定資産税などを諸経費として計算しています。
実際には、他にも諸経費が計上されるため、実質利回りは上記の数値よりも小さくなるでしょう。
【表面利回り】
(52万円÷410万円)×100=12.68%
【表面利回り】
(52万円-18万円)÷(410万円+29万円)×100=7.74%
上記のような中古ワンルームマンションを想定した場合の表面利回りは12.68%、実質利回りは7.74%です。
中古物件の場合、修繕やメンテナンス費用が必要になっていきます。
そのため、実質利回りは計算した数値よりも下がることを想定しておきましょう。
 

利回りを見る際の注意点

不動産投資に限らず、金融商品を選ぶ際に利回りは重要な項目です。
しかし、利回りだけで判断すれば、その他のリスクを見逃してしまうかもしれません。
ここでは、投資用物件の利回りをみる際に注意しておきたい項目を紹介します。
投資初心者のなかには「利回りは高ければいい」と考える人もいるかもしれません。
利回りは運用次第で変動するため、数値の高低だけで判断するのは早計です。
たとえ利回りが理想より低くても、長期的運用によって優良物件になる物件もあります。
実際に物件を購入する際は、書面や写真だけで決めないように注意しましょう。
遠方にある物件でも現場まで足を運び、建物の状態や周辺を自分の目で確かめることが大切です。
家賃相場や賃貸ニーズに関しては、不動産会社にヒアリングしてみてください。
利回りは物件選びにおいて重要な指標の一つですが、それがすべてではありません。
立地条件や築年数、耐震基準など総合的な視点で判断するようにしましょう。
高利回りは魅力に感じますが、高い数値であるほどリスクはつきものです。
不動産投資の場合、賃貸需要が見込めないという理由で、物件価格を安く設定していることも。
利回りが高くても、収益性が高い物件であるとは限りません。
リスク対策ができないまま物件を購入すると、損失が発生する可能性も高くなります。

高利回りの物件を見つけたら、以下のチェックポイントと照らし合わせてみてください。

チェックポイント想定するリスク確認方法
設備が古くないか
・3点ユニットバス
・バランス釜
・浄化槽や受水槽のメンテナンス状況
・不人気設備で空室が発生しやすくなる
・設備の交換費用がかかる
・現地に足を運ぶ
・メンテナンス履歴を仲介業者に確認する
建物の状態は良好か
・室内の修繕状況
・外壁のひび割れ
・シロアリの発生 ・漏水履歴
多額の修繕費用がかかる・現地に足を運ぶ
・建物の状態を仲介業者に確認する
告知事項はないか
・自然死、自殺、他殺の発生状況について
入居付けが難しい告知事項はないか仲介業者に確認する
再建築は可能か
・接道要件を満たしている
・用途地域に問題がない
・融資が下りない
・出口戦略に苦戦する
・現地に足を運ぶ
・役所に問い合わせる
耐震基準に問題はないか
・1981年に改正された新耐震基準を満たしている
・建て替えの必要に迫られる可能性がある
・出口戦略に苦戦する
建築確認日を見る
入居状況に問題はないか
・審査基準について
・入居者の属性について
・入居付けに苦戦する
・入居者トラブルが起こる
・仲介業者に確認する
・賃貸契約書を確認する
不動産投資は金融機関からの借り入れを前提としておこなうものです。
利回りがよくても金利が高ければ、手元に残るお金は少なくなるため、投資効率は悪くなります。
物件を購入する際は、実質利回りと金利の差(イールドギャップ)を判断基準の一つにしましょう。
たとえば、物件価格が4,000万円の物件を別の人が1軒ずつ購入したとします。
年間の家賃収入はどちらも350万円であり、実質利回りは7.2%です。
この段階では両物件の収益性に差はありませんが、以下のようにローンの金利に違いがあればどうでしょう。
イールドギャップ 物件1利回り7.2%-金利1.5%=5.7%
物件2 利回り7.2%-金利2.5%=4.7%
同じ条件の物件でも、物件2は金利の影響で投資効率が下がっていることがわかります。
適切なイールドギャップが取れているかどうかを確認してみてください。
イールドギャップの適正値は一概には言えませんが、3%以上は確保しておきたいところです。
資産運用で将来どのくらい資産を増やせるのか、年利回りをもとにシミュレーションすることが一般的です。
しかし、投資で毎年7%の利回りが得られるとしても、利回りをそのまま享受できるわけではありません。
投資で得られた利益には税金が課されるからです。
そのため、利回りは「税引き後」で考える必要があります。
投資により得られた利益に対して「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の3つの税金がかかるのが一般的です。
株式投資や投資信託は利益額に関わらず20.315%の税金がかかると覚えておきましょう。
ただし、つみたてNISAやiDeCoといった「税制優遇口座」のなかで得られた利益は非課税になる制度もあり、必ずしも税金がかかるわけではありません。

実質利回りの計算では、利益から税金を差し引くことを忘れないようにしましょう。

低利回りでも購入すべき物件の特徴

長い賃貸経営のなかで、入居者の入退去を避けて通ることはできません。
<br>退去期間はどれだけ利回りが高くても収入はゼロになります。
利回りは入居稼働率に連動しています。
ここでは、理想の利回りに届かなくても、購入を検討すべき物件の特徴を紹介します。
投資用物件を探す際に重視したいのは、立地条件のよさです。
駅や買い物施設から離れている物件は利便性が悪いと見なされ、空室率が高くなる傾向にあります。
退去者が出た際、すぐに次の入居者が決まりにくく、安定した収益は見込めないでしょう。
人気エリアであれば住みたい人が多く、早期に空室を埋められる可能性があり安心です。
また、売却時に買い手が多く出口戦略を立てやすいことも大きなメリットと言えます。
遠方にある物件を購入する場合は、住みたい駅ランキングなどを参考にしましょう。
実際に現地まで足を運んで、周辺状況(施設や騒音など)を確認することも大切です。
なお、立地条件が悪い物件は物件価格が安いため、一般的に利回りが高くなります。
数値だけ見ると魅力に感じますが、賃貸需要が見込めず、空室率が上がります。

首都圏などの人気エリアで賃貸経営を始めると、競合物件との争いに勝たなければなりません。
近隣に新築物件が建ちやすいエリアでは、賃貸需要が高くても、空室率が上がる可能性があります。
そのため、不動産投資においてエリア選びは重要項目の一つです。

地方であれば人口は少ないものの、エリア内での競合物件が少なくなります。
さらに、新築物件が建ちにくい特性もあり、長期的に安定した賃貸経営ができるでしょう。
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まとめ

資産運用を始めるうえで学ぶべき知識は少なくありません。
利回り一つとっても、知識を持たないままでいると失敗する可能性が高くなります。
不動産投資だけでなく、あらゆる投資で成功するためには、多くの知識を習得していることが大切です。
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