不動産投資のリスクとヘッジ方法を徹底解説|失敗回避の方法とは?
不動産投資は多くのメリットがあり、サラリーマンにも人気の投資手法です。
- 入居者がいれば、継続的に家賃収入が得られる
- 経費に計上できる項目が多く、節税効果がある
- 団信に加入することで生命保険代わりになる
「不動産投資のリスク対策ができなければどうしよう」と不安になる人も少なくないでしょう。
不動産投資は本当にリスクが高いのか、自分自身で確かめることが大切です。
メリットとリスクのどちらも理解したうえで、不動産投資はやめるべきなのかを判断しましょう。
不動産投資の7つのリスク
ここでは、不動産投資で代表される7つのリスクについて説明します。
以下で、それぞれのリスクについてみていきましょう。
- 空室リスク
空室リスクとは、所有している物件に誰も借り手がつかず、空室が発生し家賃収入を得られないことです。
不動産投資の主な収入源は家賃収入であるため、空室が発生すると収入がゼロになります。
そのため、空室率が大きくなると、赤字経営や破綻のおそれが出てきます。
空室リスクの高い物件の特徴は以下のとおりです。
- 賃貸需要が低い
- 周辺に競合物件ができやすい
- 家賃が周辺相場と比べて高い
- 管理が行き届いていない
- 設備が古い
- 近くにスーパー・薬局・コンビニがない
- 最寄りの駅やバス停から遠い
- 周辺に教育機関や医療施設がない
ただし、賃貸需要が安定している東京でも、競合物件が多く入居が決まりにくいことも。
エリア内のさまざまな不動産情報を収集したうえで、賃貸経営を始めることが大切です。
- 家賃滞納リスク
入居者から家賃を回収できないと、いくら満室経営でも滞納分の家賃収入は減ります。
また、そもそも払う気がない滞納者には頭を悩ませることになるでしょう。
公益財団法人日本賃貸管理住宅協会の「第25回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」によると、エリア別の滞納率平均は以下のとおりです。
- 首都圏:4.1%
- 関西圏:8.2%
- その他:4.8%
- 全国:5.0%
もちろん、ここにはうっかり滞納した可能性のある人も含まれています。
月末での2ヶ月以上滞納率は比較的低くなっているとはいえ、滞納による収入源は見逃せないリスクです。
- 家賃下落リスク
建物は経年劣化とともに賃料が下がっていきます。
三井住友トラスト基礎研究所の「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」によると、以下の3段階で賃料が下落するとあります。
- 築3~10年:年率下落率約1.7%
- 築11~20年:年率下落率約0.6%
- 築21~25年:年率下落率約0.1%
とくに、築3〜10年は下落率が大きく、25年間の平均下落率1%を唯一上回っています。
周りの物件と競合し家賃を下げざるを得ないこともあり注意が必要です。
- 老朽化による修繕リスク
新築・中古に関わらず、ある程度の年数が経てば修繕の必要が出てきます。
不動産投資における修繕対応が必要なケースは主に以下のとおりです。
- 給水管や排水管の交換
- 外壁や屋根の塗装
- 室内のリフォーム
- エアコンや給湯器の取り換え
- 入退去の際のリフォーム
- 共用廊下や階段の修繕
中古物件は購入後すぐに修繕が必要なことも珍しくありません。
そのため、修繕リスクを理解したうえで賃貸経営を始めることが大切です。
不動産投資から得られる収入が下がるため、定期的なメンテナンスや修繕をおこないましょう。
- ローンの金利上昇リスク
一方で、不動産投資ローンの金利が上昇するリスクにも気を付けなければなりません。
金利が上昇して月々の返済額が増えると、利益が圧迫されたり、赤字が膨らんだりする可能性があります。
不動産投資ローンは返済期間が長く、金利上昇リスクには注意が必要です。
変動金利の場合も、「5年ルール」や「125%ルール」が適用されることがほとんどです。
- 5年ルール:返済額は5年ごとに見直し
- 125%ルール:5年経過後の返済額上限は従前の125%まで
金融機関によってルールが適用されないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
参考元:オリックス銀行「不動産投資 借入金利について」
- 地震・火災リスク
マンションなどの不動産は、地震や大雨による浸水、火災などの事故に巻き込まれる可能性があります。
国内外のどこで不動産を保有している場合でも、災害リスクをゼロにすることはできません。
地震や火災などが発生すると建物は大きなダメージを受けるため、多額の修繕費用がかかります。
修繕中は入居者の募集ができず、家賃収入が得られないことに注意が必要です。
- 不動産価値の下落リスク
投資用物件は家賃収入が下がると収益性も低下し、結果的に不動産価値も下がります。
不動産価値が下落すると、思うような金額で売却できないこともあります。
また、物件での事故や事件、建物の老朽化などによる物件価格の下落により購入時と比べて価値が落ちる可能性もあります。
不動産投資のリスクヘッジ方法
ここでは、不動産投資で注意すべきリスクのヘッジ方法について解説します。
- 空室リスクのヘッジ方法
空室リスクの具体的な対策方法として、以下の3つが挙げられます。
- 賃貸需要のある立地・エリアの物件を選ぶ
- 入居者に人気のある設備を用意する
- 入居者募集に強い賃貸管理会社に委託する
◆賃貸需要のある立地・エリアの物件を選ぶ◆
日本は人口減少が続いており、賃貸需要が安定するエリアを選ぶことが必須です。
都市部など賃貸需要がある地域でも、供給過剰になっているところもあります。
現在の状況だけでなく、将来にわたって賃貸需要を見込めるかどうかも必ず確認しましょう。
◆入居者に人気のある設備を用意する◆
どの層を対象にするのかでも変わりますが、入居者に人気のある設備を用意したり、
新たに追加したりすることも空室リスクの対策方法の一つです。
最近では「宅配ボックスの有無」「24時間ゴミ出しができる施設の有無」などを重視する人も増えてきています。
◆入居者募集に強い賃貸管理会社に委託する◆
どの賃貸管理会社に委託するのかで、空室が埋まるスピードは大きく違ってきます。
賃貸管理会社の多くは、ホームページで入居率などの実績を公開しています。
入居率98%前後を目安に賃貸管理会社を選んで空室リスクの対策をしましょう。
- 家賃滞納リスクのヘッジ方法
家賃滞納リスクの具体的な対策方法として、以下の3つが挙げられます。
- 入居審査のハードルを高くする
- 家賃保証会社を利用する
- サブリース契約にする
◆入居審査のハードルを高くする
賃貸管理会社に入居審査を厳しい視点でおこなってもらったり、自身でも入居を許可するかを検討したりしましょう。
収入・勤務先・勤続年数・家族構成などの属性が調査対象となります。
下記は入居審査でチェックすべきポイントですので参考にしてみてください。
- 入居申込書に虚偽がないか
- 家賃の十分な支払い能力があるか
- 転居前の住居の居住期間が極端に短くないか
◆家賃保証会社を利用する
入居者が滞納した場合に保証会社が代わりに支払ってくれるサービスです。
滞納が続く場合は保証会社が入居者に対して立ち退き訴訟を起こすなどの手続きを進めてくれます。
家賃保証の利用では、入居者が手数料を支払うことになるため、オーナーの負担が少ないのが魅力です。
◆サブリース契約にする
サブリース会社が貸主として第三者である入居者に転貸する契約のことです。
サブリース会社は、入居者の有無や家賃滞納に関わらず、一定期間はオーナーに保証賃料を支払います。
ただし、利用する際の注意点やデメリットもあるため、それらを理解したうえで検討しましょう。
- 家賃下落リスクのヘッジ方法
家賃下落リスクの具体的な対策方法として、以下の2つが挙げられます。
- 中古物件を購入する
- 利便性の高い立地を選ぶ
◆中古物件を購入する
先に説明したとおり、下落率は築年数の経過とともに緩やかになる傾向にあります。
新築物件はスタート時こそ入居者付けが容易ですが、ずっと続くわけではありません。
家賃が大幅に下落する可能性のある新築物件ではなく、はじめから中古物件を購入することがリスクヘッジになります。
◆利便性の高い立地を選ぶ
周辺にスーパーやコンビニなど日常的に利用する施設の有無だけでなく、都市部へのアクセスも家賃を大きく左右します。
最寄り駅から徒歩10分以内やターミナル駅に行くまでにかかる時間など。
長期的に安定した収入を得るためには、利便性の高い立地を選ぶことが大切です。
- 修繕リスクのヘッジ方法
修繕リスクの具体的な対策方法として、以下の4つが挙げられます。
- 修繕費用を積み立てておく
- 修繕ノウハウのある賃貸管理会社に委託する
- 原状回復に充てるための敷金を設定しておく
- 購入検討時に修繕履歴をチェックする
◆修繕費用を積み立てておく
修繕費用の目安として賃料収入の3%を積み立てることで、万が一の場合の備えになります。
◆修繕ノウハウのある賃貸管理会社に委託する
修繕ノウハウのある賃貸管理会社に委託すれば、状況に応じて費用対効果の高い修繕のアドバイスを受けられるでしょう。
◆原状回復に充てるための敷金を設定しておく
トラブルを避けるかつ、修繕リスクを軽減するために、敷金を設定を相場よりもやや高く設定しましょう。
敷金を高めに設定することで、最終的にかかる費用を敷金でまかなえる可能性があります。
敷金に関しては使用明細などを入居者に提示することも大切です。
◆購入検討時に修繕履歴をチェックする
トラブルを避けるかつ、修繕リスクを軽減するために、敷金を設定を相場よりもや投資用物件の購入時にチェックしたいのが重要事項調査報告書です。
これには、過去の修繕履歴や修繕積立金の総額、大規模修繕計画の見通しなどが記載されています。
修繕積立金が十分に貯まっていない、適切に修繕がおこなわれていない場合などは注意が必要です。
や高く設定しましょう。
敷金を高めに設定することで、最終的にかかる費用を敷金でまかなえる可能性があります。
敷金に関しては使用明細などを入居者に提示することも大切です。
- 金利上昇リスクのヘッジ方法
金利上昇リスクの具体的な対策方法として、以下の3つが挙げられます。
- 自己資金を増やして借入金を減らす
- 繰り上げ返済を計画的におこなう
- 元金均等返済にする
◆自己資金を増やして借入金を減らす
不動産投資で失敗しないためには、借り入れの額を大きくしすぎないように注意が必要です。
自己資金は物件価格の3割程度を目安に準備しておくといいでしょう。
自己資本比率が高い人は、融資を優遇してもらいやすくなるというメリットもあります。
◆繰り上げ返済を計画的におこなう
繰り上げ返済には、返済期間を短くする「期間短縮型」と、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」があり、家計や資産計画をふまえて選択します。
返済額軽減型にすれば、金利上昇で圧迫されたキャッシュフローの改善が見込めます。
固定金利を選択すると、その期間内に一括返済するとペナルティが発生するため要注意です。
◆元金均等返済にする
元利均等返済は、金利が同一なら返済完了まで毎月の返済額が変わりません。
元金均等返済は、借入時から徐々に返済額が下がる仕組みです。
元利均等返済は金利が上昇すれば総返済額の差が大きくなるため、リスクを考慮する場合は元金均等返済を選びましょう。
- 地震・火災リスクのヘッジ方法
地震・火災リスクの具体的な対策方法として、以下の3つが挙げられます。
- 地震保険や火災保険に加入する
- ハザードマップでリスクを確認する
- 新耐震基準に準拠する物件を選ぶ
◆地震保険や火災保険に加入する
地震・落雷・風災・火災など、災害被害に遭った際に補填を受けられます。
契約内容によって補償の範囲や内容が異なるため、しっかりと比較検討することが大切です。
◆ハザードマップでリスクを確認する
ただし、ハザードマップを活用すれば、地震や火災の危険度を確認することは可能です。
各自治体のハザードマップで、そのエリアの災害リスクの度合いや地盤の強さをチェックしましょう。
◆新耐震基準に準拠する物件を選ぶ
旧耐震基準と区別して使われ、震度6強・7でも建物が倒壊しない想定で制定されました。
新耐震基準に準拠したマンションは、東日本大震災では倒壊が確認されませんでした。
また、築年数が古い物件は、耐震補強工事をする方法もあります。
- 不動産価値の下落リスクのヘッジ方法
不動産価値の下落リスクの具体的な対策方法として、以下の2つが挙げられます。
- 物件エリアの人口動態や開発計画を調べる
- 定期的な修繕やメンテナンスをおこなう
◆新耐震基準に準拠する物件を選ぶ
賃貸需要の高い物件なら収益力が低下しにくいため、不動産価値の下落リスクを抑えられます。
そのためにも、物件エリアの人口動態や開発計画を調査しましょう。
人口動態は政府統計の総合窓口、開発計画もインターネット検索をすれば知ることができます。
◆定期的な修繕やメンテナンスをおこなう
老朽化が目立つと入居者の減少につながるため、きれいな状態を維持するように努めましょう。
適切なタイミングで修繕をおこなうために、賃貸管理会社への相談も重要です。
不動産投資のリスクを回避するための対策
ここからは、不動産投資で失敗しないためのリスク回避の対策を4つ紹介します。
- エリア・物件選びは慎重に
インターネットの情報だけで完結できますが、実際に現地まで足を運ぶことが大切です。
近隣エリアや地域の情報などを自分の目で見て調査すると、文字だけではわからないことも見えてきます。
どのような立地に建っているのかをチェックしてみてください。
- 不動産投資の失敗事例から学ぶ
当たり前のようにやろうとしていることが、不動産投資では失敗につながることもあります。
成功している投資家の真似をして、うまくいかないことはよくある話です。
不動産投資のリスクを想定し学び続けるためにも、失敗事例を収集し、それを分析することが重要です。
- 収益シミュレーションをする
綿密にシミュレーションをすれば、想定違いで赤字になるリスクを避けられます。
また「相場よりも高く買ってしまった」という失敗を防ぐために、不動産マーケットを調べることも重要です。
検討物件のレントロールを入手して、周辺物件と価格や家賃相場などを比較してください。
- 賃貸管理会社を活用する
物件を購入すると、入居者募集・賃貸契約・建物の維持管理・集金業務などが発生します。
これらすべてをオーナーがおこなうのは困難です。
賃貸管理会社に委託することで本業が忙しくても、管理業務に手間がかかりません。
とくに、築3〜10年は下落率が大きく、25年間の平均下落率1%を唯一上回っています。
弊社が管理する物件戸数に対しての入居率は99%(2023年1月時点)と非常に高い数字を維持しています。
オーナー様の大切な資産である物件を管理するにあたり、サポート内容も充実していますので、ぜひご相談ください。
まとめ
しかし、事前に対策を講じることで、どのリスクもある程度はコントロールできます。
過去の失敗事例を学ぶことはもちろん、ノウハウと情報力のある不動産会社に相談することが大切です。
対面でお話させていただきながら、不動産投資に対する不安や疑問を一つずつ解消していきます。
経験豊富な専門家がしっかりとサポートいたしますので、安心してご相談ください。
どのような立地に建っているのかをチェックしてみてください。