アパート経営は本当に儲からない?地獄と言われる理由と対策を解説
アパート経営に関心はあっても、経験が少ないことで「失敗するのでは?」とマイナスに考えたり、「本当に儲かるの?」と不安に感じていたりする人もいるでしょう。
利回りが高く、節税効果もあるアパート経営は人気の土地活用です。
儲からないという意見も多いアパート経営ですが、リサーチや準備をしっかりとおこない、空室対策などポイントを押さえて収益を上げる人もいます。
この記事では、アパート経営で儲かる仕組みや失敗しないための方法を解説します。
儲かるためのノウハウを知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
アパート経営は儲からないと言われる理由
アパート経営をはじめとする賃貸経営は「儲からない」と言われることがあります。
なぜネガティブなイメージが先行しているのでしょうか。
まずは、アパート経営が儲からないと言われる理由について掘り下げていきます。
投資額が大きく多額のローンが負担になるから
アパート経営は数千万円単位での投資額が必要であり、多額の資金が必要です。
多くの投資家が金融機関から融資を受けますが、多額のローンを負担することになります。
ローンの返済額が大きく、失敗した際の負債を考えると及び腰になることが理由の一つです。
アパート経営に必要な初期費用の目安が、新築アパートで7〜8%程度、中古アパートであれば購入価格の1割程度が目安となります。
たとえば、1億円の新築アパートであれば初期費用として700〜800万円、5,000万円の中古アパートなら500万円程度の用意が必要です。
さらに、物件の管理は基本的に管理会社にお任せします。
物件を維持するためには定期的なメンテナンスや修繕工事も必要となり、物件取得後もお金がかかります。
このようにリスクやハードルの高さから、儲からないと考えてしまうのでしょう。
関連記事:アパート経営にかかる初期費用は?その内訳と自己資金の重要性を解説
人口減少により入居者の維持が難しいから
アパート経営で利益を出し続けるためには、入居者の確保が必要不可欠です。
しかし、人口減少による入居率の悪化が懸念されていることから、儲からないという印象が付きまとっています。
実際に、地方においては一部を除き人口減少が問題視されています。
また、築年数によっても入居者の確保の難しさが変わってきます。
新築の段階はある程度入居者も集まりますが、築年数が経つにつれて空室が目立つようになります。
人口減少による入居率の悪化を少しでも軽減するために、エリア選定は重要です。
賃貸ニーズが見込めるエリアを厳選し、周辺に競合物件がどのくらいあるのかも調べましょう。
競争力を高めるために、差別化を図れるくらいの強みがある物件を選ぶことも大切です。
関連記事:不動産投資のおすすめ地域は?人気エリアを見極めるコツも詳しく解説
黒字化までに時間がかかるから
アパート経営は初期投資に多額の費用がかかり、自己資金も必要です。
投資回収に何年かかるのかが不透明であり、本当に黒字化できるのかという不安もあるでしょう。
アパート経営で黒字化するまでに、最短でも6〜10年はかかるとされています。
株式投資やFXのように短期で儲かるような仕組みではなく、長期間での運用が基本です。
短期間での収益が低い傾向にあることから、割に合わないと感じる人も少なくありません。
アパート経営に限らず、賃貸経営は投資回収するまでにかなりの時間を要します。
投資回収に時間がかからないようにするためには、空室対策が必須です。
退去後の次の入居者が決まらないと収入が減るため、立地の良い場所でアパート経営をおこないましょう。
関連記事:アパート経営での空室率の平均は?空室時の対策や物件の選び方を解説
不動産投資の幅広い知識が求められるから
アパート経営のリスクを回避するためには、不動産に関する幅広い知識が求められます。
とくに、収益物件はそれぞれに個性があるため差が大きく、素人目には「その物件が儲かるかどうか」という判断がしにくい面があります。
「利回り」「耐用年数」「減価償却」など、聞きなれない用語が出てきます。
ほかにも、修繕費や税金などのランニングコストについても把握しておかなければなりません。
必要な知識を身につけるのは容易ではなく、素人には難しいというイメージがあるでしょう。
「初心者が下手に手を出すと、儲からないどころか損失を負ってしまう」このように考える人は少なくありません。
だからこそ、アパート経営のノウハウを持つ不動産会社のサポートを受けることが失敗しないための重要な鍵となってきます。
アパート経営は本当に儲からない?
アパート経営に対して「地獄だからやめたほうがいい」という声を耳にします。
さまざまなリスクがあり、想像以上に費用がかかるのがおもな理由でしょう。
しかし、アパート経営は投資の一つとして、多くの人が利益を得ています。
以下では、アパート経営が儲かる仕組みと大家の年収について解説します。
アパート経営の収益
アパート経営が儲かる仕組みの一つが、賃貸経営による「収益面」です。
大家となり賃貸経営をおこなうことで、入居者から家賃などの収入が得られます。
アパート経営により大家が受け取れる項目は以下のとおりです。
支払いタイミング | 費用項目 | 目安 |
---|---|---|
毎月 | 家賃 | 物件による |
共益費 | 家賃の5~10%程度 | |
随時 | 礼金 | 家賃の1~2ヵ月分 |
更新料 | 家賃の1~2ヵ月分 |
初期費用が高額であることはデメリットですが、毎月の安定した収入が見込めます。
中長期の資産形成や年金目的で運用を考えている人におすすめです。
アパート経営の支出
アパート経営を始めるにあたり、物件取得費用や税金などの初期費用がかかります。
支払いのタイミング | 費用項目 | 目安 |
---|---|---|
取得時に必要な費用 | アパートの建築費用 | 50~120万円程度/坪 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×税率 | |
印紙税 | 1,000円~6万円 (購入金額によって変わる) | |
登記費用 | 20~50万円程度 | |
その他必要な費用 | アパートローン手数料 | 借入額の2~3%程度 |
各種保険料 | 30~50万円程度 | |
管理委託費用 | 内容により異なる | |
仲介手数料 | 内容により異なる | |
司法書士報酬 | 内容により異なる |
また、以下のようにランニングコストとして管理費用もかかります。
費用項目 | 相場目安 |
---|---|
光熱費 | 1万円程度 |
損害保険料 | 1~10万円程度 |
管理費 | 賃料の5~10%程度 |
修繕費 | 1~100万円程度 |
リフォーム費 | 10~300万円程度 |
仲介手数料 | 家賃の半月分 |
管理費用のなかでも多くかかるのが、修繕費やリフォーム費です。
アパート経営では10~15年に一回という頻度で大規模修繕がおこなわれます。
大規模修繕費用などアパート経営でかかる管理費用を安く抑えるためには、定期的に修繕を実施するだけでなく、入居者審査を確実におこなうことも大切です。
関連記事:アパート修繕費の相場はいくら?大家と入居者のどっちが負担するの?
アパート経営で税金はいくらかかる?節税対策のポイントを解説
アパート経営の収入平均は540万円/年
国税庁の調査によると、不動産所得の平均額は「540万円/年」です。
不動産所得とは、アパート経営などで得た収入から必要経費を引いた金額を指します。
アパート経営以外にも、戸建て投資など不動産投資全般の収入が含まれています。
不動産所得を得ている人の、所得金額別の内訳は以下のとおりです。
所得 | 割合 |
---|---|
~100万円 | 5.3% |
100万円~200万円 | 19.1% |
200万円~300万円 | 17.2% |
300万円~500万円 | 24.1% |
500万円~1000万円 | 23.0% |
1000万円~2000万円 | 8.6% |
2000万円~5000万円 | 2.4% |
5000万円~1億円 | 0.3% |
1億円~ | 0.1% |
不動産所得で確定申告をした人は約106万人となっており、年間の手取り収入は300〜500万円の割合がもっとも多く、続いて500〜1000万円ということがわかります。
アパート経営で儲からないを避ける対策
アパート経営で成功する人は、戦略を立ててあらゆる対策をしながら運用しています。
確実に収益をあげて儲かるには、以下のポイントを意識してみてください。
自己資金を十分に用意する
大前提として、無理のない経営プランを立てることが大切です。
アパート経営は金融機関からの融資を受けられるため、少ない自己資金でも始められます。
しかし、借入金が多ければ、返済総額で圧迫され、利益を減らすことになるでしょう。
自己資金の比率を高めて、キャッシュフローに余裕を持たせてください。
ターゲットや地域の需要を把握する
アパート経営では、どのような層がターゲットになるのか調査しておきましょう。
地域の需要とマッチしていない賃貸アパートだと、空室リスクが高まります。
たとえば、単身向けの需要が多い地域にファミリー向けの物件を建てても、思うような成果は得られません。
とはいっても、あまり馴染みのない地域だと需要が把握しにくいものです。
アパート経営で成功するためには、その土地に詳しい不動産会社から情報を得ることも重要です。
自分一人ですべてを対応するのではなく、専門家の意見にも耳を傾けましょう。
リスク回避の準備をしておく
アパート経営は資産運用である以上、当然何かしらのリスクは伴います。
そのため、投資物件を購入して大家になれば必ず安定した家賃収入を得られるわけではなく、さまざまなリスクを想定した対策を練っておくことが重要です。
たとえば、空室が発生した場合はどうするのか準備を進めておきましょう。
入居者の選定や家賃の見直しなど、リスクを最小限に抑えられることもあります。
信頼できる不動産会社を探す
副業としてアパート経営をするサラリーマン大家も少なくありません。
不動産投資に興味はあっても経験がなかったり、周りから「アパート経営はするな」と反対されたりして、なかなか一歩を踏み出せない人もいるでしょう。
このような初心者に不足しているのが情報です。
アパート経営で成功して儲かるには、アパートを建てるエリアや構造も重要ですが、信頼できるパートナー探しを優先することをおすすめします。
今後のアパート経営に不安を感じている場合は、専門家へ相談してみてください。
アパート経営で儲かる収益物件探しのコツ
アパート経営で儲かるかどうかは、収益物件選びが多くを占めています。
どの立地で、どのような建物なのかは入居者が賃貸物件を探す際に重視するポイントです。
ここでは、アパート経営で成功するために収益物件探しで優先したい条件を解説します。
利便性が高い「立地」
賃貸物件を選ぶ際に、重要視されるのが「立地」です。
生活しやすい利便性の高い立地は賃貸需要が見込め、安定した経営につながります。
具体的には、以下のような条件がそろう立地です。
- 最寄駅から徒歩10分以内
- 主要ターミナル駅へ行きやすい
- コンビニやスーパーなどが生活圏内にある
- 病院や役所などの公共施設が近い
駅からの距離やコンビニ・スーパーが近いなど、利便性の高さは人それぞれです。
どのような層がターゲットになるのかも含めて、立地探しをしていきましょう。
ほかにも、治安や騒音などにも気を付ける必要があります。
インターネットだけだと情報が不足しがちなため、現地調査は欠かせません。
将来性を考慮した「築年数」
アパートの収益物件を購入する場合は、築年数についても検討する必要があります。
新築もしくは中古、同じ中古でも築浅と築古物件に分かれます。
築年数が浅ければ初期費用は高くなりますが、入居付けがしやすいのがメリットです。
中古物件は取得費用が低く利回りが高く見えますが、修繕などの管理費用がかさみます。
それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、最適な物件を選びましょう。
また、売却など将来的な出口戦略を考えているのであれば、資産価値も関係してきます。
どのくらいの価値を維持できるのかどうかも判断基準の一つです。
入居者の属性に合わせた「居住環境」
空室リスクに関係するのは、周辺環境だけではありません。
建物自体が過ごしやすいのかについても、入居者は物件探しの際に重要視します。
最新の設備がすべて整っている必要はありませんが、入居者の属性に合わせた居住環境を整えましょう。
どの入居者候補にも通じる人気設備は以下のとおりです。
- Wi-Fiなどのインターネット環境
- エントランスのオートロック
- 浴室乾燥機付き
- 宅配ボックス
入居者目線で設備環境をチェックし、魅力ある物件にすることが大切です。
以下の記事では、入居者からの人気が高い設備を解説しています。
関連記事:賃貸アパートの人気設備ランキング!新しく導入する際の注意点も解説
節税を意識した「部屋数」
アパート経営にかかわる支出を減らすなら部屋数にもこだわりましょう。
一般的なアパートの部屋数は4~8戸となっています。
しかし、部屋数が10戸以上のアパートであれば、事業手規模とみなされ青色申告で65万円の控除を受けられます。
アパート経営で事業的規模と見なされるのは、賃貸物件を「5棟」もしくは「10室」所有していることが条件です。
もちろん、複数の賃貸物件で10室を満たしている場合でも問題ありません。
5棟10室の事業的規模について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:不動産所得の事業的規模「5棟10室基準」とは?家賃収入の税金対策
入居者ニーズに合った設計
新築アパートを建築する方法も一つの手段です。
ハウスメーカーの場合、ゼロから設計するのではなく、パッケージ商品を提案されることがほとんどです。
既存の設計では他のアパートとの差別化が図れず、儲からない賃貸経営になりかねません。
アパートを建てるエリアで需要のある設備や間取りを調査することが大切です。
たとえば、女性をターゲットにする場合はセキュリティ面を強化し、台所やお風呂などの水回りにこだわるなどが考えられます。
どのようなアパートを建築するのかは、自分だけで考えるのではなく、不動産会社の意見も参考にしましょう。
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