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【専門家が解説】土地・建物を売却時の譲渡所得税について

マイホームやマンションを売却したとき、あるいは投資用のアパートや商業ビルを売却したときには、収入が入ってきます。
その時の税金について考えたことはありますか?
中には、税金が怖くて物件の売却を躊躇している人もいるかもしれません。

 今回は、「譲渡所得税」についてその計算方法や譲渡所得税の負担を軽くする売却のタイミング、節税することができる特例について解説します。
予想以上の納税額で売却計画が狂ってしまわないよう、今回のコラムを参考にして事前にシミュレーションしてみることをお勧めします。

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    譲渡所得税とは?

     「譲渡所得税」は、個人が個人所有の土地や建物を譲渡したときの収入に課税される所得税です。
    所得税は、収入の種類によって分類して計算しますが、土地・建物を譲渡したときの収入は「譲渡所得」に分類されるため、一般に「譲渡所得税」と呼ばれています。

     皆さんも、給与や事業収入などについて所得税が課税されていると思いますが、譲渡所得税と給与などの所得税とは何が違うのでしょうか。
    所得税の仕組みについて簡単に説明しましょう。

    総合課税と分離課税

     個人所得税を理解するために重要なことは「総合課税」と「分離課税」の違いを念頭に置くことです。

     個人の所得はどのような収入によるものかによって10種類に分けられます。給与所得、不動産所得、事業所得、といった具合です。

     10種類の所得に分けた後、いくつかの所得グループの所得金額を合算して税金を計算する方法を総合課税といいます。

     中には合算せずに特殊な税率を掛けて計算しなければならないものもあります。これを分離課税といいます。

     このうち、皆さんになじみのある税金の計算方法は「総合課税」でしょう。
    給与所得など総合課税に分類された所得は一定のルールに従って合算され、累進課税による税率を乗じて所得税が算出されます。
    最高税率は、住民税と合わせて55%です。

     「譲渡所得」は「分離課税」のグループに該当します。
    したがって、分類される土地・建物の売却益は、給与収入や事業収入とは合算せず、特殊な方法で所得税を計算します。

    確定申告が必要

     土地・建物の売却によって譲渡所得が生じた場合、また後に述べる譲渡所得税の特例を適用する場合には、確定申告が必要となります。

     原則として、3月15日が所得税の申告期限となっており、申告期限が土日祝日の場合には、休み明けの月曜日が申告期限となります。

    譲渡所得税の計算方法

     譲渡所得は、土地・建物の売却収入から、取得時にかかった費用(取得費)と売却時にかかった費用(譲渡費用)を引いて算出します。

     税務において、「収入」とは売上や売却金額など実際に受け取った金額の総額をいい、「所得」とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額をいいます。
    譲渡所得は、売却収入から必要経費を差し引いた金額です。

     譲渡所得税は、譲渡所得に一定の税率を乗じて算出されます。
    (譲渡所得)=(土地建物の売却収入金額)-(取得費)-(譲渡費用)
    (譲渡所得税)=(譲渡所得)×(税率)

    「売却収入金額」に含まれるもの

     売却収入金額には土地・建物の売却価格に加えて、固定資産税・都市計画税の精算金が含まれます。

     固定資産税・都市計画税は1月1日の土地・建物の所有者に対して課税されますが、年度の途中で所有者が変わった場合には、当事者間で日割計算による精算が行われるのが慣習となっています。
    つまり、引渡日以後の固都税は新しい所有者が負担するとして、その負担分を売主に支払うのです。

     この精算金が譲渡所得税の計算の際の収入に加算されて課税されるのはおかしい気もしますが、国税庁の見解によると固都税は1月1日の所有者に納税義務があり精算は当事者間の合意に過ぎないとして、精算金を収入の一部とみなすとしているため注意が必要です。

    「取得費」に含まれるもの

     取得費には、土地・建物の取得価額、購入時の仲介手数料・税金、設備改良費などが含まれます。建物は購入時からの年数によって減価償却します。

     取得費の合計金額が収入金額の5%に満たない場合には、収入金額の5%を取得費として計算します。
    相続で取得した場合は原則として被相続人の購入費用から算出しますが、不明の場合には収入金額の5%を取得費とすることができます。

    「譲渡費用」に含まれるもの

     譲渡費用には、譲渡時の仲介手数料、測量費や境界確定費用などの経費、賃貸アパートや商業ビルなどの場合の立退料、建物を撤去して更地にして売却した場合の取壊し費用などが該当します。

    短期譲渡所得と長期譲渡所得

     譲渡所得を算出したら、一定の税率を乗じて所得税を計算します。
    土地・建物を売却したときの譲渡所得税を算出する際に複雑なのは、所有期間が短期か長期かで税額が異なる点です。

     「短期譲渡所得」は土地を売った年の1月1日現在で土地・建物の所有期間が5年以下の場合をいいます。
    短期譲渡所得の税率は、所得税、住民税、復興特別所得税合わせて、39.63%です。

     「長期譲渡所得」は土地を売った年の1月1日現在で土地・建物の所有期間が5年を超える場合をいいます。
    短期譲渡所得の税率は、所得税、住民税、復興特別所得税合わせて、20.315%です。

    税額計算の例

     それでは次の例について、譲渡所得税をシミュレーションしてみましょう。

    (例)20X0年11月1日に購入した投資用マンションを20X5年12月1日に売却

    • 購入時の価格:3,000万円
    • 購入時の諸費用:150万円
    • 売却時の価格:3300万円
    • 売却時の諸費用:120万円
    • 売却時の簿価:2900万円 

    この場合、20X5年1月1日を基準に短期か長期かを判定します。所有期間は4年2か月となり、短期譲渡所得に該当します。

    譲渡所得は、
    3300万円-(2900万円+150万円+120万円)=130万円
    譲渡所得税は、
    130万円×39.63%=515,190円
    ということになります。

    譲渡所得税 節税のポイント

     譲渡所得税は他の所得税に比べれば軽減されている面もありますが、節税できるのであれば、最大限活用するべきです。
    以下の点について自身に当てはまるものはないか、確認してみましょう。

    短期譲渡所得か長期譲渡所得かを選択する

    次のような例を考えてみましょう 

    (例)

    • 20X0年12月 物件購入
    • 20X5年12月 物件売却に関わる契約の締結
    • 20X6年2月  物件引渡・登記完了

      短期譲渡所得と長期譲渡所得を考える際に注意すべき点は、売買契約日や引渡日、あるいは登記の日付ではなくその日を含む年の「1月1日」に所有期間が5年を超えているかを判断するということです。
    例のように20X5年12月に売買契約をしたのであれば、20X5年1月1日を基準に判断することになり、短期譲渡所得となります。

     では、例のように、引渡や登記が翌年2月に完了した場合はどうでしょうか。20X6年1月1日を基準に考えると長期譲渡所得となります。
    実はこのような場合、どちらを基準に考えるかは納税者の選択に任されています。

     当然、長期譲渡所得の方が節税になることから、本件の譲渡所得は、20X6年度の確定申告にて計上したほうが得となります。

    自宅を売却したときの所得控除と税率の特例

     自宅を売却したときには、課税所得から最大3,000万円が控除されます。
    したがって、この場合3,000万円までは譲渡所得税がかかりません。

     さらに売却した日を含む年の1月1日時点において、所有期間が10年間を超えている場合には、課税所得のうち6,000万円までの部分については14.21%の税率に軽減されています。

    自宅を売却したときの買換え特例

     自宅を売却した年の前年、当年、翌年の3年間に自宅の買換えを行った場合、一定の要件に該当する場合には譲渡所得への課税を繰延べる特例が受けられます。

     課税を繰り延べる、とは今回の売却には課税されない代わりに次の自宅売却の時に今回の課税分が上乗せされることを意味しています。

     もっとも買換え特例は、前述の3,000万円控除及び軽減税率の適用との選択となるために、どちらが有利かを検証する必要があります。
    自宅がの売却価格が高額(但し1億円以下)で、多額の譲渡所得が生じる場合には、買換え特例を選択したほうが有利である場合が多いでしょう。

    損益通算・繰越控除特例

     所有期間が5年を超える自宅を売却して譲渡損失が生じた場合には、一定の条件を満たすときには他の所得と損益通算することができます。
    また、申告した年度でなお通算できなかった損失がある場合には、翌年以降3年間その損失を繰越して控除することができます。

     土地・建物の譲渡所得は分離課税のグループであるために損失は他の所得と通算できないのが原則です。
    しかし、特例として居住用建物の売却の際の譲渡損失については、損益通算と繰越控除が認められます。

    不動産売却の際には専門家に相談を

     土地・建物を売却した場合の譲渡所得税についてはさまざまな軽減措置が認められていますが、基本的に短期譲渡所得、長期譲渡所得に従って課税されます。不安な場合は一度顧問税理士や不動産の専門家に相談してみるとよいでしょう。

     不動産売却の際には、ぜひ中山不動産にご相談ください。

     また、他にも不動産の税務に関するコラムがありますので、あわせてご覧ください。

    名古屋市の固定資産税はいつ決まる?計算方法や支払期限についても解説 【不動産売買】https://nakayamafudousan.co.jp/magazine/fudousan-baibai/column/1144/

    土地の相続税評価の方法 特例を使った節税方法も解説https://nakayamafudousan.co.jp/magazine/fudousan-baibai/column/1609/

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