アパート経営で大家が加入すべき火災保険|基本相場や選び方を解説
自然災害が相次ぐ昨今、安定的なアパート経営に向けて火災保険への加入をご検討の大家さんも多いのではないでしょうか。
火災保険に加入すると、さまざまな自然災害や事故への備えになるメリットがあります。
- 火災や自然災害などによる損壊リスク
- 漏水や飛来物などに対する損害リスク
- 入居者死亡などの事故物件リスク
この記事では、万が一のリスク対策として有効な火災保険について、基本相場や選び方などを解説します。
アパート経営で火災保険は加入すべき
アパート経営で大家が火災保険に加入すべき理由、入らないことによるデメリット、火災保険料の相場を解説します。
火災保険に加入する目的は「リスクへの備え」
火災保険に加入する目的は、万が一の災害リスクへの備えです。
火災保険の補償対象は火事だけではありません。
火災のほか近年多発する自然災害、人為的な災害まで広範囲を補償対象としています。
- 自然災害(火災・落雷・風水害)
- 人為的な災害(破壊・事故・盗難)
- 日常生活で起きる損害(水漏れ・飛来物)
災害大国である日本だからこそ、安心してアパート経営をおこなうために、リスク対策として火災保険への加入は必須といえます。
また「地震保険」を付帯できることも火災保険に加入すべき理由です。
地震保険は火災保険の特約となるため、単独での加入はできません。
万が一の大規模災害を想定して、特約に関してもチェックしておきましょう。
火災保険料の相場は建物の構造や補償範囲で異なる
火災保険料の相場は安くても年間20万円前後、地震保険などの特約を付帯すれば年間60万円前後が目安です。
ただし、火災保険料は建物の構造や保険期間、補償範囲など細かい条件によって決まるため、保険料は物件ごとに異なります。
たとえば、木造住宅は鉄筋コンクリートより保険料を安く抑えることが可能です。
また、より充実した補償内容のほうが保険料は高くなります。
支払期間は1年契約と最長5年契約があり、5年契約のほうが支払総額を安く抑えられます。
さらに近年では、自然災害のリスクが高まっていることから、火災保険料が年々増加傾向にあることも見逃せません。
このように火災保険料の試算は複雑なため、専門家に相談のうえ、具体的なシュミレーションをしましょう。
アパート経営で火災保険に入らないとどうなる?
大家が火災保険に入らない場合、家賃収入を失ううえにローン返済だけが残るという想定外の事態に陥る可能性があります。
アパートの共用部分から火災が発生した場合、入居者加入の火災保険は適用されません。
共用部分の賠償責任は大家にあるため、火災保険に入っていないと、大家は実費による多額の補償を負う恐れがあります。
また、火災保険への加入は、火災保険に未加入の入居者が起こす火災リスクへの備えとしても重要です。
入居者が火災保険に未加入だと、入居者過失による損害が補償されないことも考えられます。
入居者が火災保険に入っていないと、大家が加入する保険会社が補償してくれるため安心です。
アパート経営の火災保険で付けられる特約の種類
火災保険は自然災害や火災などからアパートを守る有効手段ですが、万全というわけではありません。
補償を手厚くする3つの特約について解説します。
施設賠償責任特約
施設賠償責任特約は、建物の不備が原因で入居者や通行人などに損害を与えた場合に、大家が支払う損害賠償費用を補償する特約です。
たとえば、所有アパートから剥がれ落ちた外壁が通行人に当たってケガをさせた場合や、劣化した手すりが原因で入居者の転落事故が起きた場合などが挙げられます。
建物の劣化による事故のリスクは、アパート経営の期間と比例して高くなります。
築年数の経過した物件の場合は、積極的に施設賠償責任特約の付帯を検討しましょう。
家賃収入特約
家賃収入特約は、火災や自然災害などの被害によって一時的に家賃収入が途絶えた場合に、契約時に決めた期間を限度に家賃収入を補償する特約です。
アパートを建てる際に融資を受けている方にとくにおすすめの特約といえます。
アパートの一室で火災が発生し、上下階や隣室などの住人にも被害が及んだ場合、家賃収入の大幅な減少は避けられません。
ローンを組んでいれば、返済が苦しくなったり、アパート経営そのものが成り立たなくなったりすることも考えられます。
自然災害など予期せぬ事態による家賃収入の減少に備えて、家賃収入特約を付帯しておくと安心です。
家主費用特約
家主費用特約は、孤独死や自殺、犯罪などの死亡事故に起因する家賃の減収を補償する特約です。
前の入居者の死亡を理由に家賃の値下げを余儀なくされた場合や、上下階などに空室が発生した場合に経済的損失が補償されます。
また、室内清掃や遺品整理など、部屋の原状回復にかかる費用も補償対象であることもポイントです。
一人暮らしの入居者が孤独死した場合、遺品整理や清掃などはオーナー負担で対処しなければなりません。
高齢化が進む日本において、単身者用アパートを経営している場合は積極的に家主費用特約を検討しましょう。
アパート経営の火災保険に関する注意点
地震災害への備えとして注目を集める地震保険は火災保険の付帯特約であることなど、火災保険に関する注意点を解説します。
地震保険に同時に加入する必要がある
地震大国日本において地震保険への需要は高まっていますが、じつは地震保険単独での加入は認められていません。
地震保険に加入したい場合は、火災保険の特約となる「地震保険特約」を付帯する必要があります。
地震保険特約を付帯することで、地震による火災や火山の噴火、津波被害が補償されます。
補償対象は住居部分のある建物のほか、家財補償を付けていれば家財一式です。
地震保険はどの保険会社で加入しても保険料、補償内容が一律となっています。
また、半数以上が火災保険と同時に地震保険特約を付帯していることを押さえておきましょう。
火災保険への加入はアパートローンを利用する条件となる
アパートの取得にあたり、火災保険への加入はアパートローンを利用する融資条件となります。
金融機関としては火災などで家賃収入が途絶えて返済が滞るリスクを回避したいため、家賃減収を補償する火災保険への加入を求めるケースがほとんどです。
金融機関から融資を受けるためにも、火災保険への加入は必須と捉えておきましょう。
アパート経営で最適な火災保険の選び方
アパート経営で火災保険を選ぶ際に注目すべきポイントは以下の3点です。
- 補償対象物
- 補償範囲
- 保証期間
それぞれ具体的に見ていきましょう。
補償される対象物は何があるか
火災保険の補償対象は、「建物のみ」「建物と家財」「家財のみ」 の3つから選択します。
大家は火災による建物の賠償責任が生じるため、「建物のみ」を選ぶケースが一般的です。
ただし、家具・家電付き物件や自宅を併設している場合は「建物と家財」を選択するとよいでしょう。
なお、建物にはアパートの門や塀なども含まれています。門や塀の補償のために他の火災保険に入る必要はありません。
補償される範囲はどこまでか
火災保険の補償範囲は保険の種類によってさまざまなため、補償範囲の確認は重要です。
火災保険の補償範囲は火災だけではなく、自然災害(風水害や落雷など)、人為的な災害(漏水や盗難被害など)まで幅があります。
「普通火災保険」や「住宅火災保険」は保険料は比較的安価な一方で、最低限の補償範囲となります。
「総合型の保険」は保険料は高額になりがちですが、床上浸水や洪水、水漏れなど補償範囲が広い火災保険です。
集中豪雨など災害リスクの高いエリアの物件は補償範囲が広い「総合型の保険」を選ぶなど、災害リスクに対して補償範囲が適正であるか保険内容を確認しましょう。
保険の適用期間はいつまでか
火災保険の適用期間は最短で1年、最長5年です。
2022年10月1日以降の契約より、火災保険の最長適用期間は従来の10年から5年に短縮されました。
1年契約は補償範囲や補償対象を毎年見直せるメリットがありますが、1年あたりの保険料が割高になる点はデメリットです。
最長5年の長期契約の場合、1年あたりの保険料が割安になるのがメリットです。
ただし「契約期間中は補償内容の変更ができない」「一度の支払額が高額になる」などのデメリットもあります。
所有アパートの特性や経営状況と照らし合わせて保険期間を決定しましょう。
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まとめ
火災保険は自身が所有するアパートを大家が自ら守る保険です。
火災保険に入っていれば、災害によってアパートが損害を受けても家賃収入や再建築費用などが補償されるため、安定的なアパート経営が可能となります。
地震保険が付帯できることもポイントです。
自然災害が多発する昨今、万が一のリスクに備えて火災保険への加入を積極的に検討しましょう。
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