不動産投資は節税にならないは嘘?税金対策の仕組みや注意点を解説

こんにちは。
中山不動産株式会社です。

いくら給与所得が多くても「支払う税金が多くて手取りが増えた感じがしない」と悩む方も少なくないでしょう。
個人や会社員が節税する方法は、ふるさと納税や生命保険の利用などさまざまですが、資産運用を考えるなら不動産投資がおすすめです。
一方で「不動産投資は節税にならない」と聞いたことがあるかもしれません。
結論から言えば、不動産投資における節税はなる人と大して効果がない人に分かれます。
そのため、節税目的だけのために不動産投資を始めることがないよう注意が必要です。

この記事では、サラリーマン大家の不動産投資における節税対策について解説します。
節税をする際の注意点も紹介していますので、最後まで読み進めてみてください。

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不動産投資は節税になる!5つの税金対策

不動産投資によって節税できる税金は5種類あります。
まずは、それぞれの税金の簡単な概要だけでなく、いくらくらいになるのかについて解説します。

所得税

所得税とは、給与所得に対して課される税金のことです。
会社員の場合、毎月振り込まれる給与から既に天引きされており、実際に計算したことがある人は少ないかもしれません。

所得税額は給与所得に応じた税率によって決まります。
税率は累進課税が採用されていて、以下のように7段階の税率が定められています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 194.9万円まで5%0円
195万円 から 329.9万円まで10%9.75万円
330万円 から 694.9円まで20%42.75万円
695万円 から 899.9万円まで23%63.6万円
900万円 から 1,799.9万円まで33%153.6万円
1,800万円 から 3,999.9万円まで40%279.6万円
4,000万円 以上45%479.6万円

出典:国税庁「所得税の税率」

たとえば、所得金額が700万円だった場合、税率は23%、控除額が63.6万円です。

700万円×0.23 – 63.6万円= 97.4万円

つまり、所得金額700万円に対する所得税額は 97.4万円です。

住民税

住民税とは、都道府県や市区町村などの自治体に納める税金のことです。
会社員の場合は所得税と同様、毎月振り込まれる給与から天引きされています。

住民税は「所得割」と「均等割」で構成されており、それぞれの税率は以下のとおりです。

税率・負担額内訳
所得割所得に対して10%道府県民税4%・市町村民税6%(政令指定都市の場合は道府県民税2%・市民税8%)
均等割一律5,000円道府県民税1,500円・市町村民税3,500円

所得割は所得に応じて10%の負担が求められるものであり、所得が高いほど納付額が上がります。
一方、均等割りは一律5,000円と決まっているため、所得に関わらず負担します。

贈与税

贈与税とは、資産の贈与に対して課される税金のことです。
資産を贈与をする人を「贈与者」、資産を受け取る人を「受贈者」と呼びます。
贈与と聞いて、親が贈与者となりその子どもが受贈者となるというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

贈与税は原則として、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与に対して課税されます。
贈与税額については、贈与を受けた財産の金額が大きいほど、税率が高くなります。

相続税

相続税とは、相続財産を受け取った際に課される税金のことです。
故人の財産を残された人が受け継ぐと相続税が発生します。
相続税の対象となる資産は以下のとおりです。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 宝石
  • 土地
  • 家屋

相続税額は「相続税評価額」によって決まります。
相続税評価額とは、資産ごとに定められた評価方法にしたがって計算された財産価格のことです。
相続税は相続税評価額の合計額に基づいて支払いの必要性やその金額を決定します。

相続税の計算方法や注意点について、以下で詳しく解説しています。

法人税

法人税とは、法人の事業活動による所得に対して課される税金のことです。
多くの場合、法人税は企業が支払う税金であり、会社員にとってはあまり馴染みがないかもしれません。

法人税は以下のように大きく分けて「国税」と「地方税」の2種類があります。

国税地方税
法人税法人住民税法人事業税

一般的には、それぞれをまとめて「法人税等」と呼びます。

サラリーマンが不動産投資で節税できる仕組み

なぜ不動産投資によって節税できるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
ここからは、不動産投資で節税できる仕組みについてわかりやすく解説します。

経費計上して課税所得を減らせる

会社員が不動産投資を始めることで、経費を計上して課税所得を減らせるといった節税効果があります。
課税所得とは課税される所得金額のことで、金額が少ないほど税額が少なくなります。

たとえば、不動産投資では以下のような費用を経費として計上できます。

  • ローンの利息
  • 管理費
  • 修繕費
  • 火災保険や地震保険などの保険料
  • 固定資産税などの税金
  • 管理委託料

減価償却による費用計上ができる

不動産投資をすると、減価償却によって経費計上できるため節税できます。
減価償却とは、経年劣化を伴う建物や設備を耐用年数に分割して費用計上する考え方のことです。

たとえば、建物価格5,000万円のマンションを1億円で購入し、減価償却期間が5年だった場合、以下のように減価償却費を計算します。

5,000万円(建物価格)÷5年(減価償却期間)=1年あたり1,000万円

この場合、5年間にわたって毎年1,000万円ずつの費用計上が可能です。

このように、実際には支出が生じていない減価償却費を経費にすることで、所得を少なく申告できるようになります。

確定申告で損益通算できる

不動産投資で赤字になった場合は、確定申告で損益通算できます。
損益通算とは、給与所得などの収入から損失分を差し引いた金額から所得税額や住民税額を算出することです。
控除金額は、以下のように計算します。

家賃収入 – 必要経費 =不動産投資以外の収入から差し引く赤字額

赤字になった不動産所得を損益通算すれば払いすぎている所得税の還付を受けられるため、給与所得と不動産所得の相殺が可能です。

ただし、住民税の場合還付はなく、翌年の給与から徴収される分に反映されます。

不動産の購入は相続税・贈与税対策になる

不動産の評価額は現預金よりも評価を下げられることが多いため、相続税・贈与税対策になります。

不動産に対する相続税・贈与税の算出方法は、相続税評価額に定められた税率をかけて計算されます。
一般的には、相続税評価額は時価80%程度です。

たとえば5,000万円の財産が現金だった場合、課税対象額は5,000万円です。
一方、5,000万円の不動産を持っていた場合、課税対象額は4,000万円になるため節税になります。

また、投資用物件も相続税評価額の減額対象です。
賃貸マンションやアパートが建っている土地は「貸家建付地」として評価減を受けられます。
ワンルームマンション投資の場合も、固定資産税評価額により評価されるため、現金よりも不動産のほうが節税できます。

法人化による節税メリットもある

課税される不動産所得が900万円以上になった場合、所得税は33%になります。
法人税なら税率は最大約23%のため節税が可能です。
そのほか、家族を役員にして不動産所得の分散、相続税がかからなくなる点もメリットです。

ただし、法人設立の手間や費用、個人とは異なる財務・会計処理が必要になるデメリットもあります。

以下の記事では、法人化のメリット・デメリットについて詳しく説明しています。
こちらもぜひご覧ください。

出典

国税庁「所得税の税率

国税庁「法人税の税率

節税効果はどれくらい?納税額をシミュレーション

不動産投資を始めると、どのくらいの節税効果があるのでしょうか。
ここでは、以下の条件をもとに1年目の納税額をシミュレーションしていきます。

・給与所得:900万円・不動産の購入価格:約8,000万円・購入時の諸費用:400万円(物件価格の5%)・年間家賃収入:550万円(=7.6万円×6戸×12ヶ月)・減価償却期間:35年・減価償却費:232万円・自己資金:800万円・ローン返済期間:35年・金融機関借入:7,000万円・金利:1.5%・年間のローン支払い:約300万円・年間の運営費用:110万円(満室想定家賃年収の20%)

【不動産所得の計算】

年間家賃収入(550万円)-諸費用(400万円+232万円+105万円+110万円)=-297万円

【不動産投資をおこなっていない場合】

・所得税を計算

給与所得金額:900万円-給与所得控除額(1,950,000円)=705万円

課税所得金額:705万円-社会保険料控除(115万円)-基礎控除(48万円)=542万円

所得税額:542万円×20%-427,500円=65万6,500円

・住民税を計算

課税所得金額:705万円-社会保険料控除(115万円)-基礎控除(43万円)=547万円

所得割額:547万円×10%+均等割額(5,000円)=55.2万円

【不動産投資をおこなった場合】

・所得税を計算

課税所得:702万円-297万円=405万円

課税所得金額:405万円-社会保険料控除(115万円)-基礎控除(48万円)=242万円

所得税率:322万円×10%-97,500円=14万4,500円

・住民税を計算

課税所得金額:405万円-社会保険料控除(115万円)-基礎控除(43万円)=247万円

所得割額:327万円×10%+均等割額(5,000円)=25.2万円

【不動産投資による節税額】

所得税:65万6,500円-14万4,500円=51.2万円

住民税:55.2万円-25.2万円=30万円

所得税と住民税を合計すると、初年度は81.2万円の節税につながります。
不動産所得のマイナスを損益通算することで、大きな節税効果が生まれます。

不動産投資で節税になりやすい2つの条件

不動産投資では、節税につながりやすい条件が2つあります。
ここからは、それぞれの条件について解説します。

年収が高い人ほど節税効果を実感しやすい

所得税率は課税所得が大きいほど税率が上がるため、年収が高い人ほど節税効果を実感しやすいです。

なかには「年収いくらからなら不動産投資の節税効果を得られるの?」と気になる人もいるかもしれません。
とくに不動産投資の節税に向いているのが、課税所得が900万円を超える人です。

不動産を売却すると売却益に対して所得税・住民税が課され、これを「譲渡税」と呼びます。
たとえば、不動産購入から5年以降に売却した場合、譲渡所得税率は約20%となります。
もし課税所得が900万円を超えていたら所得税・住民税率は約33%です。

ここで譲渡税率と所得税・住民税率の差が大きくなるため、節税効果を期待できます。

新築物件よりも中古物件のほうが節税効果が高い

中古物件は購入時からの耐用年数が低くなるため、新築物件よりも節税効果が高くなりやすいです。
減価償却費は物件の構造と築年数で決まり、中古物件のほうが1年あたりの減価償却費を高く計上できます。

ここで、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンション(3,000万円)の例を見てみましょう。

新築物件中古物件(築20年)
算出方法耐用年数(47年)に沿った償却率(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%
償却率0.0220.033
減価償却費66万円99万円

上記のように、中古物件は法定耐用年数から築年数を引いて計算されるため、1年あたりの減価償却費が高くなります。

なお、法定耐用年数切れになった場合は法定耐用年数×20%の年数で減価償却ができます。

節税目的で始める不動産投資の失敗事例とリスク

節税のために不動産投資を始めても、必ず成功するわけではありません。
ここからは、失敗事例とリスクについて解説します。

空室が出て赤字が大きくなりすぎた

不動産投資では空室が出ると、不動産投資ローンだけを抱えることとなり、大きな赤字が発生することがあります。
赤字額が大きくなると、節税できる金額以上の赤字が出ることもあるでしょう。

とくに、耐用年数を過ぎた物件は要注意です。
もちろん築年数が古い物件は節税効果が高いですが、賃貸需要も低下するため空室になるリスクも高くなります。

空室リスクを避けるためにも、節税だけにとらわれず賃貸経営の視点も取り入れることが重要です。

投資用物件の売却タイミングが早すぎた

個人が不動産を売却すると譲渡所得税が発生し、タイミングが早すぎると赤字になる場合があります。

譲渡所得税は物件の所有期間に応じて異なり、取得から5年以内に売却する場合は「短期譲渡所得」が課されます。
短期譲渡所得税の税率は長期譲渡所得税の2倍に設定されているため、かえって損失になるケースもあるでしょう。

節税ばかりに気を取られて売却を急ぐと譲渡所得税を多く支払うことになるため、注意してください。

節税目的で赤字の計上しすぎは金融機関の信頼を失くす

節税のために赤字を計上しすぎると、金融機関に「賃貸経営がうまくいっていない」と思われ、次の投資物件で融資してもらえなくなる可能性があります。

投資物件を増やしていきたいと考えるなら、金融機関からの信頼を得ることが大切です。
赤字計上が多くても、これから黒字経営にするための対策を立てる、ローンの繰越返済を計画するなど、賃貸経営を成功させるための策を明確にしておきましょう。

不動産投資で節税をする際のポイント

不動産投資で節税効果を得るためには、4つのポイントを意識することが重要です。
ここからは、それぞれのポイントについて解説します。

目先の利益にとわられず、長期的な視点で始める

不動産投資をおこなう際は、目先の利益ばかりを追うのではなく長期的な視点を持って始めましょう。
短期で結果を出そうとして行動すると、10年後、20年後のリスク回避を意識できません。

物件は時間の経過とともに老朽化するものであり、いつかは修繕が必要です。
修繕費が確保できていないと、賃貸需要低下の原因にもなります。
また時間の変化とともに、入居希望者のニーズを取り入れる必要もあるでしょう。

重要な決断をする際は節税だけを意識するのではなく、長いスパンで計画を立てていくことが大切です。

節税効果のみで物件を選定しない

物件選びの際、節税効果ばかりにとらわれると失敗する原因になります。
中古マンションは節税効果の高さが魅力的ですが、新築マンションに比べると賃貸需要が低いこともあります。

いざ不動産投資を始めても、入居率が悪ければ賃貸収入を得られません。
収益が赤字になり、不動産投資ローンだけを抱えることとなるでしょう。

不動産投資を始めるからには、物件の立地やそのエリアのニーズもしっかり調査する必要があります。

不動産投資の知識習得・情報収集を欠かさない

正しい判断を下すためには、不動産投資の知識習得や情報収集は必須です。
重要な場面で最終的には自分であるため、どの程度の知識があるかが成功要因になるでしょう。

そこで不動産投資を始める際は、最低でも以下の知識は身に付けておきましょう。

  • 不動産投資のノウハウ
  • 物件の選び方・購入方法
  • 賃貸管理に関する法律
  • 確定申告・相続など税務に関わる知識

また情報収集には書籍やインターネットの活用も有効です。
余裕があれば不動産投資や節税に関するセミナーに参加し、積極的に情報収集しましょう。

専門家のサポートを受ける

不動産投資の成功には知識が不可欠になるため、専門家からサポートを受けるのも一つの方法です。
税理士や不動産会社のアドバイスを取り入れることにより、判断に迷った際の参考になるケースがあります。

身近な専門家の一つが不動産会社です。
信頼できる不動産会社を選ぶ際は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • アフターフォローが受けられるか
  • 顧客に寄り添った物件選びをしてくれるか
  • 不動産投資に関する豊富な知識があるか
  • 税理士や弁護士の士業と取引があるか
  • お客様の声を公開しているか

なお、専門家に相談する際は費用が発生します。
予算に組み込むなどして、収益を確保するよう意識しましょう。

不動産投資の節税に関する質問(FAQ)

最後に不動産投資の節税について多くの人が疑問に感じていることを、FAQ形式で解説します。

公務員が節税目的で不動産投資を始めても大丈夫?

公務員は「原則として副業禁止」であるため、節税対策の選択肢は限られます。
一方で、不動産投資は以下の要件に該当しなければ、公務員でも副業とみなされません。

  • 一定の規模以下であること
  • 家賃収入が年間500万円以下であること
  • 物件の管理業務を自分で行わないこと

なかには独自に規則を定めている自治体もあるため、事前に確認は必要です。

一般企業に勤めるサラリーマンとは少し異なる部分もありますが、不動産投資を始める公務員は少なくありません。
ただし、節税効果だけを目的に始めないよう注意が必要です。
あくまでも一つのメリットとして捉え、不動産経営をすることが大切です。

投資用マンションは住宅ローン控除が受けられる?

投資用マンションの場合は、残念ながら住宅ローン控除は受けられません。

住宅ローン控除を受けるには、自宅用として不動産を購入することが条件となっているからです。
投資用マンションは「第三者への賃貸を目的とした投資用不動産」に値するため、住宅ローン控除の対象外となっています。

住宅ローンで投資用マンションを購入することは禁じられているため、ローンを利用する際は不動産投資ローンを利用しましょう。

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まとめ

不動産投資は長期的な計画を立てるのが基本です。目先の利益や節税効果にこだわらず、長い目で見た収益性に注目しましょう。不動産投資は自分の目的に合わせた物件選びが重要です。
実際に足を運んで物件や周辺環境を確認したり、不動産会社に相談したりするなど、慎重に選んでみてください。

中山不動産の相談会では一人ひとりに合わせた物件をご提案しています。
物件選びに迷ったときや疑問や不安がある場合など、お気軽にご相談ください。

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