不動産投資のシミュレーション例|収支計算のやり方やツールを解説
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不動産投資で成功するために欠かせない要素の一つが、「シミュレーション」です。
シミュレーションをおこなうことで、以下のようなメリットがあります。
- 具体的な収支計画が立てられる
- リスクへの対策がとれる
不動産投資のシミュレーションを正しくおこなうことで、上記のように安心して不動産を運用できるようになるメリットは大きいでしょう。
そこでこの記事では、不動産投資のシミュレーションについて、おすすめの方法や便利なツールを紹介します。
不動産投資のシミュレーションとは?
不動産投資の成功には、綿密なシミュレーションが不可欠です。
将来の収益やリスクを事前に把握することで、無理のない投資計画を立てられます。
キャッシュフローや利回り、売却金額などを予測し、最適な投資判断につなげましょう。
ここでは、シミュレーションの必要性や注意点を解説します。
シミュレーションの必要性
不動産投資において、シミュレーションは将来の収益とリスクを把握するうえで重要です。
投資前に収支やキャッシュフローを把握することで、無理のない返済計画を立て、安定した投資を実現できます。
シミュレーションを行うことで、空室や家賃下落などのリスクを事前に把握し対策を検討したり、最適な物件を選んだりできます。
また、物件購入に必要な資金や運用費用を明確にし、無理のない資金計画を立てることも可能です。
シミュレーションを行わずに投資することは、将来の見通しが不透明なため、大きなリスクを伴います。
綿密なシミュレーションを行い、リスクを最小限に抑え、安定した不動産投資を目指しましょう。
シミュレーションを利用する際の注意点
不動産投資シミュレーションは有用ですが、利用時には注意すべき点があります。
シミュレーションはあくまで将来の予測であり、前提条件の変化によって結果が大きく変動する可能性があることを理解しておきましょう。
また、シミュレーションで使用するデータが正確であるかを確認することも大切です。
不確かな情報に基づいてシミュレーションを行っても、正確な結果は得られません。
不動産投資シミュレーションは投資判断の参考として活用し、過信することなく、総合的に判断するように心がけましょう。
売却金額も考慮に入れることで、より長期的な視点でのシミュレーションが可能になります。
不動産投資のシミュレーションでわかること
不動産投資におけるシミュレーションは、将来の収益性やリスクを事前に把握するために不可欠です。
投資前に条件を設定しシミュレーションを行うことで、いくつかのことが予測できます。
ここでは、不動産投資シミュレーションでわかることを解説します。
キャッシュフローの目安
キャッシュフローは不動産投資の重要な指標で、毎月の収支状況を把握するために必要です。
具体的には、物件購入費用や維持管理費、ローン返済額を差し引いた後に手元に残る金額を指します。
この指標を基に、長期的な収益性や投資判断が可能となります。
キャッシュフローの計算には、家賃収入や空室リスクなども考慮しましょう。
不動産キャッシュフロー計算アプリやエクセルを活用することで、効率的に計算できます。
これにより、リスクを低減し、投資の最適化を図れます。
さらに、売却金額や物件の評価額も計算に含めると、より正確なキャッシュフローの見積もりが可能です。
将来的な資産計画を練る際の基盤となるでしょう。
金融機関の融資ライン
金融機関の融資ラインは、不動産投資を進めるうえでの重要な基準です。
融資ラインとは、投資家に対する融資可能な金額や条件を指します。
これを把握することで、購入可能な物件や投資計画を具体化できます。
融資ラインを確認する際には、物件の収益性や自己資金、返済能力が評価されます。
不動産収益シミュレーションやエクセルツールを活用すれば、より精密な計算が可能です。
また、金融機関の基準は異なるため、複数の銀行を比較することが推奨されます。
さらに、返済負担率やキャッシュフローも同時に考慮することで、適切な融資ラインを設定できるでしょう。
これにより、無理のない資金計画が立てられます。
投資する物件の購入判断
投資する物件の購入判断は、不動産投資の成功を左右する重要なプロセスです。
まず、物件の収益シミュレーションを行い、利回りやキャッシュフローを確認しましょう。
これにより、物件が収益性を持つかを具体的に評価できます。
また、近隣の家賃相場や空室率を調査し、リスクを事前に把握することが必要です。
さらに、購入費用や維持管理費を正確に算出し、ローン返済計画と収支シミュレーションを照らし合わせることで、無理のない購入が可能になります。
不動産キャッシュフロー計算アプリやエクセルを活用することで、効率よく計算できます。
最終的には売却金額を含めた長期的な収益予測を行い、将来的な価値を見極めましょう。
理想の売却タイミング
理想の売却タイミングを見極めることは、不動産投資の成功に直結します。
市場動向を常に把握し、物件の価値が最大化する時期を狙いましょう。
たとえば、近隣の再開発や需要増加が見込まれる場合、物件の売却金額が上昇する可能性があります。
また、不動産収益シミュレーションを活用することで、適切なキャッシュフローを維持しつつ利益が最大化されるタイミングを計算できます。
ローン残高や税制の変更にも注意を払い、売却益が最大となる状況を整えることが重要です。
さらに、将来のリスクを回避するためにも、適切な売却計画を立てる必要があります。
これにより、不動産投資の収益を最大限引き出せるでしょう。
不動産投資のシミュレーションをするために必要な情報
不動産投資のシミュレーションは、まず情報を集めることから始まります。
- 投資物件に関する詳細な情報
- 投資物件の購入にかかる諸費用
- 固定資産税の評価額
- 自己資金や借入の金額
正確なシミュレーションに必須となる上記4項目を見ていきましょう。
投資物件に関する詳細な情報
投資物件に関する詳細な情報は、正確なシミュレーションに欠かせません。
できる限り正確に情報を集めましょう。
- 購入金額:物件の総額(物件本体価格+初期費用)
- 想定される利回り:投資金額に対する収益の割合
- 土地の特徴
- 周辺情報:エリアの家賃相場や駅からの距離など
- 建物の広さや構造
- 間取りと入居期間
- 修繕履歴
間取りと入居期間は空室率と家賃下落の予測に、修繕履歴は大規模修繕費の見込みにそれぞれ役立ちます。
シミュレーションの大前提として、購入金額や修繕履歴といった収益の変動要素に関する項目は詳細に情報を集めましょう。
投資物件の購入にかかる諸費用
物件を購入する際は、物件本体価格に加え、以下のような諸費用がかかることを覚えておきましょう。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う物件購入の手数料(物件価格×3% + 6万円)
- 不動産取得税:不動産を取得したときに生じる税金
- 印紙税:契約書など特定文書に課税される税金
- 固定資産税および都市計画税の清算金:購入物件にかかる固定資産税など
これらを合計した諸費用の目安は、物件価格の7~10%となります。
固定資産税の評価額
毎年の支払いが必須の固定資産税について、税額を算出する際の基準値である「固定資産税評価額」を確認することも大切です。
土地の評価額は街の環境変化に応じて変動しますが、建物の評価額は経年とともに下がります。
土地と建物の評価額はその都度変動するため、より正確なシミュレーション結果を得るために固定資産税評価額は随時確認しましょう。
自己資金や借入の金額
キャッシュフロー黒字化のカギを握る自己資金と借入額についても、入念に確認しておきましょう。
自己資金を多く入れれば返済比率が低くなり、自己資金が少なければ返済比率は高くなります。
キャッシュフローが黒字になるのか赤字になるのかは、自己資金と借入額の割合次第と言っても過言ではありません。
キャッシュフローのマイナスを防ぎ利益を出すために、自己資金と借入額はしっかり確認しましょう。
関連記事:不動産投資ではキャッシュフローが重要!計算方法や運用の仕方を解説
不動産投資のシミュレーション例
不動産投資のシミュレーションをする際の流れを頭に入れておきましょう。
具体的な例をもとにわかりやすく4ステップで解説していますので、大まかな流れを理解する参考にしてください。
ステップ①投資物件の必要情報をそろえる
マンション購入を例に、そろえるべき必要情報を見ていきましょう。
- 物件情報(築年数:15年、平米数:65㎡、販売価格:2,500万円)
- 購入諸費用:75万円(販売価格の3%程度)
- 家賃:10万円/月
- 管理費:0.5万円/月
- 修繕積立金:0.6万円/月
上記に列挙した情報は不動産の物件概要に記載があります。
ステップ②ローン返済額を計算する
次に、以下の毎月の返済金額の計算式に当てはめ、毎月のローン返済額を把握します。
【毎月の返済額=借入金額×月利(※1)×(1+月利)α(※2)乗 ÷((1+月利)α-1)】
※1→月利=金利÷12
※2→α=返済回数
<融資条件>
- 融資期間:30年
- 金利:2%
- 自己資金:500万円(物件価格2割)
- 融資金額 :2,075万円
月利とは一ヶ月あたりの利率・利息のことです。
上記の融資条件で2,500万円の物件を購入する場合、毎月のローン返済額は約8万円となります。
上記のとおり計算式が複雑なため、シミュレーションの際はあとで紹介するツールを活用しての試算をおすすめします。
ステップ③毎月の収支を計算する
毎月の収支の計算式は以下のとおりです。
【毎月の収支=家賃-経費-ローン返済額】
それぞれ値を入れると、「家賃10万円-(管理費0.5万円+修繕積立金0.6万円)-毎月のローン返済額8万円=0.9万円」となります。
毎月の収入額は9,000円という計算です。
なお物件の管理方法については、自主管理と不動産会社に管理を委託する方法の2通りがあることを知っておきましょう。
空室リスク回避など安定的な運用を考慮すると、少々の委託料を支払う形で不動産会社に委託するほうがトータルコストが安くなるケースが多くなっています。
ステップ④諸費用を含めた具体的な計算をする
ステップ④は、諸費用を含めた具体的な計算です。
物件を購入する際は物件価格に加え、以下の諸費用がかかることを押さえておきましょう。
<諸費用の一例>
- 仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用
- 融資手数料
これらを合計した諸費用の目安は、物件価格の7〜10%となります。
2,500万円の物件を購入する今回のシミュレーションでは、諸費用として175〜250万円が必要です。
不動産投資のシミュレーションにおすすめのツール
不動産投資のシミュレーションは、1分足らずで結果が表示されるシミュレーションツールがおすすめです。
簡単・便利でシミュレーション結果の信頼性も高いおすすめのツールを以下の3カテゴリーごとに紹介します。
- スマホアプリ
- 無料のエクセルソフト
- 簡易シミュレーションサイト
収益チェックや見通しを立てる際にご活用ください。
スマホアプリ
スマホが定着した近年では、簡単に収益を計算してくれる便利なスマホアプリが登場しています。
必要項目を入力するだけで簡単にシミュレーション結果が分かります。
上記は初心者でも扱いやすいアプリですので、ぜひ活用してみましょう。
無料のエクセルソフト
シミュレーションにおすすめの無料のエクセルソフトは以下のとおりです。
IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)は、5年後や10年後に売却した場合のIRRや35年間のキャッシュフローが一枚のシートで確認できます。
空室率ごとのキャッシュフローの計算とローンの返済額の推移を把握したい場合は、キャッシュフロー計算ソフトがおすすめです。
簡易シミュレーションサイト
簡単で便利なおすすめのシュミレーションサイトは以下の3つです。
- 楽待
- 不動産投資シミュレーション(キャッシュフローシミュレーション)
- 不動産投資連合隊
楽待は、物件価格・表面利回り・物件構造・築年数・建物面積の5項目を入力するだけでおおよそのシミュレーション結果が表示される人気のシュミレーションサイトです。
適切な売却時期がわかるのもメリットでしょう。
シミュレーション結果をより詳細に確認したい場合は、11項目が表示される「不動産投資連合隊」がおすすめです。
シミュレーションを正確におこなうためのポイント
FXなどとは異なり、不動産投資は手堅いタイプの資産形成ではありますが、リスクがゼロではありません。
シミュレーションを正確におこなうためのポイントを押さえ、不動産投資を成功させましょう。
あらゆるケースを想定してシミュレーションする
あらゆるケースを想定してシミュレーションをすることは、不動産投資成功の大きな秘訣であることを心得ておきましょう。
不動産投資では空室時の家賃補填費用や設備の修繕費など、ランニングコストとも言うべき諸経費がある程度必要です。
これらのあらかじめ予測可能な項目を把握し、不測の事態に備えておくことが大切です。
5年後・10年後の推移を確認する
5年後・10年後など、長期的な目線で物件推移を確認することも大切です。
不動産投資は長期間にわたって運用し、利益を得るシステムなため、短期的な利益だけを見て判断してはいけません。
手堅く運用するためには、少なくとも5年単位で物件価値の動向を予測する必要があります。
シミュレーションの際は大規模修繕費や家賃低減などを盛り込んだ、長期的な目線で算出されるツールを活用するとよいでしょう。
関連記事:不動産投資の成功には出口戦略が重要!初心者が考えるべきこととは
家賃や入居率は下がる前提で行う
不動産投資のシミュレーションを行う際、家賃や入居率が下がる前提で計算することが重要です。
市場の変動や物件の老朽化により、家賃の引き下げや空室率の上昇が発生する可能性があります。
これを無視して楽観的な見積もりを行うと、キャッシュフローが悪化するリスクが高まります。
不動産キャッシュフロー計算アプリやエクセルツールを活用すれば、複数のシナリオを想定して計算を実施できます。
また、収支シミュレーションに空室リスクを織り込むことで、より現実的な収益予測が可能です。
これにより、投資計画のリスクヘッジが可能となり、長期的な収益安定を目指せるでしょう。
周辺相場と比較して適正家賃か確認する
不動産投資で成功するためには、周辺相場と比較して適正家賃を設定することが不可欠です。
近隣物件の家賃データを収集し、エリア特性や物件の設備状況と照らし合わせて分析しましょう。
高すぎる家賃設定は空室率を上げ、逆に低すぎる設定は収益性を損ないます。
不動産収益シミュレーションやキャッシュフロー計算アプリを活用することで、適正な家賃を見極める作業が効率化できます。
また、周辺の需要動向や市場トレンドも調査し、変動する条件に柔軟に対応することが重要です。
適正家賃を設定することで、安定した収益を確保しやすくなるでしょう。
突発的な出費があっても問題ないかを確認する
不動産投資では、突発的な出費が発生しても安定したキャッシュフローを維持できるかどうかの確認が重要です。
修繕費用や自然災害に伴う保険料増加、家賃滞納など、予測不可能な支出が発生する可能性があります。
これらに備えるためには、収支シミュレーションを通じて緊急時の余裕資金を確保しておくことが必要です。
不動産キャッシュフロー計算アプリやエクセルを活用することで、細かな支出も含めた計算が簡単に行えます。
また、リスク分散のために複数物件を所有し、それぞれのリスクを軽減することも一つの方法です。
このような準備をすることで、突発的な支出が発生しても計画的な資産運用が可能となるでしょう。
まとめ
シミュレーションをおこなうと運用の見通しが立ち、不動産投資が成功する確率が高くなります。
売り時を予測し、先手先手で行動できるのもシミュレーションのメリットです。
ただし、シミュレーションだけを頼りに意思決定をするのはおすすめではありません。
不動産投資で確実に収益を上げるためには、やはり不動産のプロのサポートが必須です。
手堅く確実に不動産投資で収益を上げたい方は、中山不動産にご相談ください。